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Vol. 11: ホームスクール

ソチ冬季オリンピックが始まり、日本選手の活躍ぶりが毎日報道されています。世界の頂点を目指す中にはスノーボードで銀メダルをとった平野選手のような十代の選手もいて、職業柄つい学業との両立をどうしているのか考えてしまいますが、それを解決する方法の1つに、アメリカではホームスクールという制度があります。

 ホームスクールとは、文字通り「家が学校」。家庭教師を雇うケースは少なく、大半は(母)親が先生になってわが子を教えます。自宅のある学校区の教育委員会へ申請し、審査後、認定を受ければすぐに始められ、息子達が小学生のときには、学年途中でホームスクールに切り替えた子供もいました。

 年に何度か到達度を調べるテストを受け、カリキュラムに沿った提出物を出し、カウンセラーとの面接や身体測定などを義務づけられる以外は、時間数や進度もかなり自由で、オリンピックでメダリストを出している体操やフイギュアスケートなどのクラブに入っている子供たちは練習時間を確保するためにコーチから勧められることも多いようです。友人の息子さんも小学校卒業と同時にホームスクールにしたことで、練習不足と同時に、試合出場で多かった欠席からくる進級問題も解決し、学業とスポーツの両立が楽になったことが何よりよかったとお母さんも喜んでいました。

 まだ子供数全体からみれば数パーセントでしかないとはいえ、インターネットの普及で自宅で手軽に勉強ができ、内容も初等教育から専門的なことまで受講可能なため、障害・いじめ・治安・家計・宗教上の問題から英才教育までさまざまな理由で自宅での教育を選ぶ家庭は増加の傾向にあります。学齢の到達度テストではどの学年でも全米平均を上回る好結果を出していますから、今後も増えることが予測されており、相談を受けるホームページも充実しています。

 もちろん一方では社会への適応力やリーダーシップの欠如などを指摘する声も強いため、そうした子供対象のサマーキャンプやボーイ(ガール)スカウトもあって、精神面の発達にもそれなりに配慮がなされ、環境もかなり整っていると言えます。

 我が家の息子たちが義務教育期間だったときは、勉強する場として「学校」以外考えられなかった私には、自宅を選ぶ親の心理は正直よく分かりませんでした。が、今になると、ホームスクールの良し悪しではなく、違いを受け入れ、選択肢を増やそうと努力をするアメリカという国の姿勢にこそ価値があるのではないかと思っています。

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