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Vol. 12: 計算力

母語が英語でない子供たちに学校生活を送れるように専門家が指導するESL(ELD)を終えてレギュラークラスに入ったお子さんにとって、言葉が中心の英語や社会は、授業が分かるようになるまでかなりの苦労を覚悟しなければなりません。けれども算数(数学)となると計算問題はできるので、一息つけるだけでなく、ほめられて自信をつける子供たちも多くいます。

物理や経済など高度な数学を必要とする分野で毎年のようにノーベル賞受賞者を出しているとはいえ、アメリカの義務教育期間の算数(数学)のレベルは日本に比べて高いとは言えません。子どもの能力に応じた指導に重点を置いていることもあり、小学校3年生で2けたの引き算に指を使っていても恥ずかしいことではありませんし、100ます計算のような計算練習を課せられることもありません。

もちろんだからといって平均に甘んじていては、日本に帰ってから困るのは必至で、学年が上がるに連れて複雑になる計算問題を解くには、基礎を身につけた上で、練習をしなければなりませんから、南カリフォルニアには公文やソロバンだけでなく、日本式数学を教える学習塾もあり、KUMONは英語にもなっています。

アメリカの算数と日本の算数との大きな違いは、式を書かずに答えだけを書いても正解になることでしょう。統一テストでも答えのみが書かれた記号を選択する問題が多く、全てが正否で判断されてしまいます。イコールの位置をそろえて式を書いていれば、どこで間違えたかを見つけられるため、単純計算のケアレスなど自分の弱点に気づくこともできますが、答えだけではそれができないのが大きな欠点です。

また計算式でも位をそろえて数字をきちんと書く指導が徹底していないため、小数点や位の大きい数字をつかった計算では間違えやすく、算数の基礎を身につけるまでは、家庭なり、補習校なりでしっかり指導する必要があります。

日本式九九で掛け算の基礎を覚えるのも、計算の早さ・正確さには必須といえます。英語では「Two times two equal four.」式で、言葉遊びのような覚え方はないので、「ににんがし」「ごっくしじゅうご」で九九ができるようになると、それだけでも普通のアメリカ人たちと差が出ます。いまはお経のように単調な唱え方だけでなく、歌になっているCDも市販されていますから、移動の車の中で覚えることもでき、重宝します。九九だけは日本語で完璧にマスターさせてあげましょう。

韓国や中国など算数を得意とする民族が増えたとはいえ、計算力のアップは学校で言葉の壁を乗り越える力にもつながりますから、がんばってほしいと思います。

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