Vol. 29: 実技教科のアメリカ事情

July 7, 2016

       日本の小学校教育で感心するのは、国語・算数・社会・理科の主要教科以外の充実度です。実技を中心にして、バランスの良い心身の育成を目指していることが分かります。

 

       ではアメリカはどうかというと、日本と比べ、かなり見劣りするというのが正直なところです。特にカリフォルニア州では税収の不足に伴う予算のカットが教育にまで及び、結果、情操分野が大幅に削られてしまいました。

 

       図工は月に1回美術専門の先生が各校を巡回し、先生が用意したインクやクレヨンで模写をしたり、それを変形させた絵を描くことがほとんどです。絵画の基礎になる写生はありませんし、刃物を使う版画にいたっては高校で美術を選択しない限り、目に触れることもありません。廃材を使った工作、粘土に着色したお面など日本に体験入学したときには、生徒作品のすばらしさに親子で目を見張りました。

 

       音楽はと言うと、毎週定時に組み込まれるのは小学5年生になってから。主に弦楽器と歌のどちらかを選び、歌は合唱、弦楽器は合奏で、吹奏楽器は小学6年生から始め、弦楽器と合わせてオーケストラになります。驚くのが楽譜を読む指導がないことで、歌は先生の声を頼りにカラオケで歌い、楽器の奏者は譜が読めることが条件になっています。楽器そのものは楽器店が格安でレンタルしてくれるので、購入することはなく、初めて触れる生徒には良い機会と言えますが、個別に習わずについていくのはたいへんです。

 

       もちろん小学5年まで一切音楽がないというわけではなく、教室で歌を歌ったり、音楽ホールの見学に行き、オーケストラの生演奏を聞いたりという機会はありますが、日本のように生徒全員が楽譜を読み、ピアニカやリコーダーで楽器演奏ができることを目指すものではありません。専門で勉強する生徒以外は、音楽を楽しめればよいという考えです。

       最後に体育について。PE(Phisical Education)と呼ばれ、小学校では週に3・4回は時間がとられているものの、陸上、球技、体操、水泳までを総合的に授業で習う日本とは全く違い、担任の先生がサンダル履きで監督し、お楽しみの時間のように見えることがしばしばです。好天が多く、年間を通じて屋外活動が中心の土地柄のため、体育館がなく、マットの上で前転したり、跳び箱を飛び越す機会はありません。サッカーやドッジボールはルールに則ってやっていますが、道具のいる野球やソフトボールはなく、プールもないので、もちろん水泳の時間もありません。

       オリンピックでいくつも金メダルをとるスポーツ大国のアメリカがと驚かれそうですが、高校に入り施設の整った所で専門の教員から習うまでは、学校で運動能力を伸ばすことは難しいというのが現実です。市やコミュニティーが主催するスポーツ教室は受講料が手ごろな上、乗馬や空手、フィギュアスケート等種類が多く、2ヶ月ほどが1セッションになっているので、何かスポーツを始めようというお子さんにはお奨めです。

 

 

 

 

 

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