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Vol. 26: 驚きを言葉にしてみよう

海外で生活した子供の強みはなんでしょう。帰国子女=バイリンガルと思い浮かべる人が多いことからみても、語学力は確かに挙げられると思います。

ではそれ以外にどんな強みがあるかと考えたとき、実際にはこれこそが最も大きいのですが、異文化体験ではないでしょうか。

学齢前で比べる対象がない場合をのぞき、日本の学校に通った子供であれば、まず校舎が平屋で小さいこと、体育館がないこと、コンクリートの遊び場があることなどなど、たくさんの違いを発見するでしょう。雨が少ない南カリフォルニアでは小学校で体育館を備えているところはほとんどありません。バスケットボールもコンクリート上にラインが引いてあり、ポールがにょきっと立っています。

外からそのまま教室に出入りするため、上履きがいりません。当然下駄箱もありません。給食はなく、カフェテリアで希望者だけが買うシステムのため、日本のような給食当番もなければ、掃除も専門業者がするので掃除当番もありません。アメリカ生まれのうちの息子たちにとっては一時帰国の体験入学で、三角巾やマスク、エプロンをして学校で仕事をするが珍しく、いつも楽しんでやっていたようです。

教室内の飾りは、壁一面にカラフルなポスターがはられているだけでなく、中学や高校でも天井から生徒作品をぶら下げているところもあり、日本人にはここで落ち着いて勉強できるのだろうかと疑問に思うことも少なくありません。

こうしたことの1つ1つがアメリカ発見、言い換えれば異文化体験です。

言葉の違いは直接自分に関わるため、ショックも大きく、帰国時に自分の体験を話すことができますが、先にあげたような異文化に関しては、大人が思う以上に適応力があり「アメリカと日本の学校の違い」で具体例をあげられる子供は、編入時に小学高学年であってもほとんどいません。

目で見たことを言葉や文章にすることで、記憶の定着率はぐっとアップしますから、ご両親、とくにお母さんは、アメリカで見たこと聞いたことに対して、お子さんの前で驚きを口に出してみてください。

「あら、体育館がないんだ!」「ボール遊びは?」「外」「朝会も外?」「そんなのないよ」「え~、朝会がないの?」「じゃ、校歌はいつ歌うの?」「聞いたこと無い」「無いの?!」

こんな会話のやりとりがあって、異国での発見が初めて具体的に記憶され、日本との違いが鮮明になるのです。

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