Vol. 28: プロジェクト

子供達にどんな宿題が出ているかを尋ねると、よく「プロジェクト」と答えが返ってきます。直訳すれば学習課題で、授業で習った基本的な知識をもとに、それを体験する場として設けられることが多く、発表や作品提出などかなり時間がかかる宿題です。

例えば、英語の授業で「伝記」を取り上げた場合、歴史上の人物を選び、自分がその人になって、自己紹介をする。いまでこそインターネット画像で同一人物の複数の写真を見られますが、以前は百科事典に掲載された顔写真くらいしかなく、どんな服装をしていたか、どんな持ち物をもっていたかなどその時代の知識も必要で、図書館で調べなければなりません。先生からは洋服を買ったり、特別に作ったりせず、できるだけ手持ちの物を工夫してと指示があり、リンドバーグを選んだ息子はスキー用の毛糸の帽子にゴーグルをし、私の革ジャンに黒い長靴という扮装で「My name is Charles Lindborg.」で始まる自己紹介をしました。 算数では、大きさの決まった正方形が100なら100で絵を描く、図形用語だけを使ってクロスワードパズルを作るなど、学齢に応じたプロジェクトがあり、練習問題を数多く解き、正確な答えを出すことが重要視される日本との違いを感じました。 一時帰国で地元の公立小学校に体験入学をした時には、社会見学で冊子つくりがありました。出来上がった冊子を見せてもらうと、授業中に子供だけで仕上げたとは思えぬほど、挿絵がうまかったり、調べた内容がすばらしかったり、感心させられた記憶がありますが、アメリカで子供達が課せられたのは、歴史を習ったあと「当時発行の新聞」や、実際には存在しない博物館の三つ折りパンフレットの作成でした。

創作するおもしろさがあるとはいえ、本物らしく見せるためには、まず本物がどのようにできているかを調べなければなりません。文章を書くのもたいへんなら、それをどう配置するか、レイアウトも難しく、親子でずいぶん時間をかけて仕上げました。

さてここまで読んで、宿題は子供だけでやるものではないかと疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。もちろん学校で課されるものは本人がやるのが基本です。けれども実際にこちらで子育てをしてみると、いくつもの宿題が重なり、時間的に親が手伝わざるを得ないことも多く、我が家では図工が関わるものは、ほとんど毎回親子で仕上げていました。

始めのうちは多少気にしていたのですが、教室に張り出された作品を見てみると、手伝ったあとが明らかなものがずらり。一目で親の手が加わっていると分かっても、先生の指示に従い、期日を守っていれば評価を下げられることもなかったため、以後は割り切って「協力」することにしました。

全ての先生が親の手伝いを認めるわけではありませんから一概には言えませんが、小学校までの「プロジェクト」に関しては、親御さんの参加もアメリカの教育を学ぶ良い機会になるのではないかと思います。

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