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Vol.35 ママはお抱え運転手


夫婦喧嘩もおきがちですがアメリカでの生活に欠かせないもので、真っ先に頭に浮かぶのが「車」です。大都市であっても自宅から公共の地下鉄や電車で目的地へ行けることはほとんどないため、車は一家に1台ではなく、成人一人に1台です。

 日本で運転免許がないという方はもちろん、ペーパードライバーにとっても、外国での免許取得はかなりの重荷に感じるでしょう。でも自動車免許を統括するDMV(Department of Motor Vehicle)に置いてある交通規則集を読めば、そう難しいことはありません。いまはGoogleにfree preparation tests for driver's license(無料運転免許問題集)と入力すると、各州のものが入手できますので、ぜひ利用してください。カリフォルニアでは日本語での受験もでき、生活手段として必須の運転資格を取りやすいよう配慮されているのはさすがです。

筆記試験合格後の練習は個人に任せられます。日本のような教習所はありませんので、ほとんどの方がご主人に乗ってもらって、近くの高校やショッピングセンターなどの駐車場で練習することになります。夫婦喧嘩もおきがちですが、ここはお互いに辛抱あるのみ。晴れてご主人から「合格」をもらったら、実地試験に臨みます。ただ緊張のあまり試験官の指示が聞き取れずに落ちてしまったというのもよくある話で、一度や二度の失敗は気にせず、「良いドライバー」目指して練習しましょう。

 車の運転ができるようになると、買い物でも友達とのランチでも自由に行けるようになり、生活圏が何倍も広がります。が、それと同時にのしかかってくるのがお子さんの送迎で、一人ならまだしも、二人三人が別々の場所に行かなければならないようなときは、やりくりも簡単ではありません。12才以下の子供は家で留守番もさせられないため、帰り時間が遅くなるときには、おにぎりを車中で食べながら移動ということも起きてきます。「そこまで子供の送り迎えをしなければならないの?」子供だけで電車やバスを乗り継いでできる日本にいると、想像しただけでうんざりしてしまう方もいるでしょう。でも、こればかりは我が子のため。車の送迎は家事と同じ比重なのです。

うちは息子2人がサッカーチームに入っていたため、夫の単身赴任後は、試合がある土曜日など150キロを走ることもしばしばでした。上の子を会場に連れて行っても、そこで応援するのはわずかで、すぐに下の子の会場へ移動し、そこからピストン移動で今度は上の子を迎えに行く・・・ナビのない当時は地図帳を助手席に広げて運転をしていました。

 顔見知りになってくると「カープール(Car Pool)」と呼ばれる乗り合いの声もかかり、往路と復路をチームメートの親と分担することもよくありました。よそのお子さんを乗せられるだけ運転に慣れてからになりますが、同乗する子供達の挨拶もそれぞれで、アメリカ社会を垣間見る良い機会でもありました。

「I ‘m a chauffeur.(私はお抱え運転手)」とは、そんな親たちとの会話の中でよく耳にした言葉です。子供の移動には必ず送迎がいるとなれば、確かに「お抱え」、それも無料奉仕ですけれど、これが現代アメリカ子育ての日常です。お母さん、頑張ってください。

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