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インド 異文化交流

 

 欧米駐在を満喫した後、4度目の赴任地がインド ムンバイと言われた時は、親子共々絶望的な気持ちになった。

しかしインド到着後、何年も駐在している日本人の方々が生き生きと毎日を過ごしている姿を見て「この生活、楽しくなりそう...」と思うようになるまでにそう長くはかからなかった。

 朝起きると、朝食がきちんと用意されている。洗濯物は下着にまでアイロンがかかっている。

床、トイレ、バスルームは毎日丁寧に掃除をしてくれる。夕方家に戻ると頼んでおいたメニュー通り日本の晩御飯が出来上がっている。

メイド、ドライバ-に助けられながら、こんなに自由な時間ができるのもこの先ないかもしれない...

ゴルフ、テニス、ショッピング、ランチを楽しむだけでなく、インドにいるからこそ出来ることをやろうと思った。

 

 ムンバイ日本人会婦人部には、インド人と交流できる様々な行事があり、講師を招き色々なお話を聞くことができた。

 

● 紅茶......ダージリン、アッサム、ニルギリなど世界最大の紅茶生産国。

● 宝石......宝石類の輸出入額はインドの全商品の中でもトップクラス。

        ムンバイは、ダイヤモンドの一大取引・研磨加工地。                          

● スパイス..インド料理はスパイス抜きには語れない。クミン、コリアンダー、

               ターメリック、シナモン、クローブ、カルダモンなど、その日の体調、  

               気候、食材、気分に合わせてスパイスの種類、分量や比率を決める。             

● ボリウッド映画

        ハリウッド映画と並び、制作本数観客動員数ともに世界トップクラス。

        ムンバイ(旧ボンベイ)は映画産業の中心地。

● アーユルベーダ

        世界最古のインド伝統医学。心身共に健康で幸せな生活を送るための

        ライフスタイルを教えてくれる。 

           

 その他インドの占星術、結婚式、サリ-の着付け、祭り、細密画など様々な講義をしていただいた。私たち日本側からは、海苔巻きなど日本食の作り方、浴衣の着付け、日本の歌の披露、インド人の日本語スピーチコンテストの審査など、現地校や色々な施設に出向いて交流した。

 日本人学校の子供たちは毎年、現地校、インターナショナルスクールの子供たちを招待し、ヨーヨーすくい、射的、的当て、和太鼓など日本の縁日を体験してもらい、法被を着てヨサコイソーランを披露したり、ヒンディー語で覚えたインド国歌を歌ったりした。

 私の娘が特に印象に残っているのは、総合の授業で取り組んだ「1000人アンケート」である。

5、6年生4人で駅やショッピングモールに行き、まず自己紹介、アンケートの主旨を伝え「あなたの宗教はなんですか?」

「あなたはどの神様を信じていますか?」というのをヒンディ-語と英語でアンケートをとるというものだ。

(ヒンドゥー教にはシヴァ、ガネーシャ、ラーマ、ハヌマーン、その他多くの神が信じられている)

先生二人と学校のインド人スタッフがそばで見守ってくれているが、見ず知らずのインド人に声をかけ、宗教のことを聞くというのは

相当勇気のいるものだ。それぞれが一日30人、多い日には一日90人に毎日アンケートをとり続けた。

無視されたり言葉が通じなかったこともあったが大概は友好的に答えてくれ、1000人に到達したときの達成感は

一生忘れられないものになったようだ。

 このように文化、歴史、伝統を理解し違いがわかり、改めて日本という国、自分自身を見直してこそ真の国際人となり、

帰国した後も子供たちは再び世界へと目を向け飛び立っていくのだと思う。

直にインドに触れ、インド人と交流することが出来た環境に感謝している。

滞在期間:2004年~2007年

家族構成:夫婦 長女(小5~中1)長男(小2~小4)

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