Vol. 23: 夏休みの宿題

January 13, 2016

       アメリカでは7月4日の独立記念日が終ると夏本番。日本と同じ4月始まりの補習校では、先生方が夏休みに向けた宿題を用意するのに頭を悩ませています。どの先生も普段ストレスをかかえている生徒達をゆっくりさせてあげたいという気持ちと、現地校がない休みこそ、日本語の勉強をしっかりやってほしいという相反する思いを抱えているからです。

 

       平均して2ヶ月以上はあるこの国の夏休み。さぞやすごい量の宿題が出るのだろうと思う方も多いでしょう。「ちびまるこちゃん」の原作者さくらももこさんのエッセイにも休み終了間際に、家族や友人の力を借りて宿題を終らせた“苦労話”があり、日本人にとっては切り離せない夏休みと宿題ですが、アメリカでは基本的に何も出ません。

 

       2ヶ月もの間、勉強せずに遊んでばかりいたらどうなるのか、覚えたことをきれいさっぱり忘れて、思い出すだけで相当な時間がかかるのではないか、宿題なればこそ子供もしぶしぶ勉強するのに、家で何をさせればいいのか等など、日本人の親御さんの苦情はよく耳にします。

 

       とは言え学校側にすれば6月中旬にその学年を終え、9月から進級するわけですから、以前の先生が同じ生徒を引き継ぐ確率は低く、小学から中学へと学校が変わってしまう場合には、何のつながりもありません。合理的に考えると、採点のあてのない宿題は出さないということでしょう。

 

       もちろん子供たちはこれぞ夏休みと大喜びで、中学2年で日本から越してきた生徒がその驚きを作文に書いてきました。――自分の中学では主要教科ばかりでなく、実技科目からもどっさり宿題が出た。毎日朝から夕方までバスケットボールの部活があり、くたくたになって帰宅する生徒のことなどおかまいなしの量だった。それがアメリカでは夏休みの宿題がない。学校がある時は終らせるのに毎晩遅くまでかかるほどたくさん出た宿題が、学年が終ると同時に成績の良し悪しに関わらず一切ない。全てが本人に委ねられているのだ。遊びほうけて学力の下がる子供ももちろんいるだろう。だがそんな子供ばかりでないことは大学の世界ランキングをみればわかる。上位にはアメリカの大学がずらりと並び、日本の大学は残念ながらそれほど高くない。夏休みに出す大量の宿題が子供の学力を維持し、力を伸ばすということはないのではないか。(要約 小田)――

 

       この作文を書いた生徒がなるほどと納得する理由を言える大人は、先生方を含めてそういないのではないでしょうか。基礎力や学習習慣の定着という面はあるにせよ、夏休みの宿題が真の学力向上にどれほど役立つのか、じっくり考えてみたい問題ではあります。

 

 

 

 

 

 

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