Vol. 4: 学期について
東京大学の9月入学が話題になり、日本の「4月に入学して3月に卒業する」という学校スケジュールの時期が問われるようになってきました。 海外留学はもちろん日本への留学生の受け入れにも支障をきたしている現状をみると、今後欧米に合わせた大学の9月入学は増えてくることが予測されます。確かに米国の大学は9月に入ってから新学期がスタートするところがほとんどです。が、小・中学校では、8月中に始まるところも多いのでご注意ください。 米国転勤の場合、こちらの新学期に間に合うよう、1学期を終えて8月中に引越しをされる方が圧倒的です。けれども私が住むカリフォルニア州オレンジ郡にある28の学校区の中で比較的日本人のお子さんが多く通う3つの学校区だけをみても、新学期の開始は8月の2週目のところから9月の2週目というところまでさまざまです。車で30分以内の近距離の中に、最大で1ヶ月も始業日が違うのですから、米国へ越し、日常生活がある程度落ち着いてから、お子さんの学校準備をと考えている方は、引越し時期を慎重に決める必要があります。
School Districtと呼ばれる市や地域の教育委員会のホームページには、学区内にある学校が列挙され、それぞれの学校のホームページにリンクしていますので、年間スケジュールをしっかり調べておきましょう。 もう1つ、気をつけなければならないのが“イヤーラウンド”とよばれる学校です。ここは1年間を4つの学期に分け、10週間の授業日の後、3週間の休みを入れるという学校スケジュールを組んでいます。1年間の授業日数はかわりませんが、新学期は7月末から8月初旬に始まり、10月中旬の休みが「秋休み」、クリスマス前後から「冬休み」になり、3月末から「春休み」、6月初旬に学年が終了し「夏休み」に入ります。 一般的に学年が終わった後の夏休みは、学期途中の場合と違い宿題がありません。2ヶ月以上もの長い間全く勉強をしなければ、余程の勉強好きな子供でなければ習ったことを忘れてしまいます。ただ家にいるだけでは親子で飽きてしまいますから、夏休み向けにさまざまなキャンプがあるとはいえ、もちろん費用がかかります。休みを振り分け、それまで学んだことを忘れないようにするねらいから始まった“イヤーラウンド”は、勉強の面だけでなく、夏の混雑しているときを避けて家族の長期休暇をとれるなどの利点もあり、近年はとても人気が高くなっています。 統一テストの平均が高いところが多く、日本人の中にもウェイテイングリストに名前を載せて、転校を希望する方がいますが、日本の学校への体験入学を考えると、まとまって長期休暇があったほうが行きやすく、どちらも一長一短といえます。日本にいれば全く考える必要のない学校スケジュール。どうしてこんなに違うのかと戸惑う方も多いかもしれませんが、この選択肢の多さが米国文化を豊かにしているのです。